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家族写真物語 9 〜両親の還暦祝い〜

両親にとっての写真館

私の両親は同い年なので、同時に還暦を迎えました。これは母が亡くなる前の話ですが、私が遠くへ嫁ぎ、両親も共に年を取り、そろそろ還暦を迎える頃でした。

せっかくなので、お祝いをしようということになり、皆で集まり食事をして、集合写真も撮ろうという話になりました。両親は特に写真を撮りたいというわけではありませんでしたが、せっかくなので、と私がお願いしました。

「そんな仰々しいのは嫌だ」と父が言うので、「大丈夫、今はそんなに堅苦しくないし、普段着でもいいんだよ」と説得しました。多分、父にとっては、カメラマンさんに写真を撮ってもらう=一大行事と感じているのでしょう。

今までの写真館

私が子供の時から育った町では、写真館というよりカメラ屋さんというイメージが強かったです。頼めば冠婚葬祭の写真も撮ってくれますが、日々の中でフィルムを買いにいく、カメラの調子を見てもらう、など生活の一部のような感じがしていました。

子供だった私は父についていって、その横で着物姿のお姉さんの写真を眺めたりしていました。その写真は成人式のような振袖姿で椅子に座ってちょっと横を向いたようなポーズだったと思います。後にドラマなどで見ましたが、お見合い写真が出てくるシーンなどで使われているような典型的な写真です。

我が家は、祖父母もおらず典型的なサラリーマン家族でしたので、特に贅沢をすることもなく、写真館で家族写真を撮る、といったこともなく過ごしていました。当時は分かりませんでしたが、今にして思えば、写真館で写真を撮る、というのは両親にとっても大ごとで贅沢だったんだろう、と思います。

小さな町・小さな社会だったので、そのカメラ屋さん・〇田写真館には私の同級生がいて、その子の父親は私の母の同級生、隣に立地する□川薬局にも同級生、さらにその母親もうちの母親と同級生、なんてことはよくありました。

要するに、親も子も顔見知り、気心が知れた仲、という社会でした。それらは時代とともに変遷し、家族そろって引越した者、廃業した店、転職して会社員になった、など、家が自営業の同級生はほとんどいなくなりました。その写真館も同様です。実家へ戻って町中を通ると建物だけが残った姿がひっそりと目につき、少しわびしい気分になります。

母の友人の話「外国では、フォトスタジオで家族写真を撮る」

家族ぐるみでお付き合いしている母の友人家族がいます。母親同士は同級生、昔からの仲の良い間柄です。その友人の娘さんが国際結婚をし、アメリカへ移住しました。そこで、年に何回か母の友人夫婦はアメリカへ行くそうですが、アメリカというべきか外国では、フォトスタジオで写真を撮ることがよくある、と聞きました。

入学式・成人式といった、何かの行事があるからではありません。本当に何気ない日常でスナップ写真のような気安さで、写真館へ足を運ぶというのです。その話をしてくれた母の友人も、その時の様子を驚きを持って語ってくれました。

娘が国際結婚をして孫が生まれたので、主に孫会いたさに渡米している、とのことでしたが、娘家族と一緒に公園に散歩にいって、「今日は天気がいいね」などと話していると、ふと思い立って旦那さん(娘さんの夫・アメリカ人)が、「そうだ、天気もいいし、みんなで家族写真を撮りに行こう」と即断即決になったそうです。

彼女はいきなりで驚き、服装も普段着だったので戸惑ったそうですが、全然平気というので、皆で連れ立って行きました。

『お店に入ると、とってもフレンドリーで、「ハーイ、どんな風に撮る?」っていう感じで、気さくに何枚か家族写真を撮ったのよ』と笑顔で話してくれました。その時の写真も見せてもらいましたが、みんなでの集合写真は、かしこまった感じは全然なく、思い思いのポーズ、肩に手を乗せたり、わざと床に片膝ついたような、そんな雰囲気でした。また、母の友人夫婦そろっての二人だけの写真もありましたが、それにはご主人はちょっと照れた感じの表情、奥さんは満更でもないような笑顔でした。それには理由があり、二人で手を取り合い見つめあって軽く抱擁するようなポーズだったからです。うまく伝わるかどうかわかりませんが、芸能人のキャイーンのポーズをもっと密着させたような感じです。

おそらく、旦那さんは60歳前後でこんな仕草恥ずかしい、といった心境だったのでしょう。実際、ご主人は寡黙で真面目一筋なイメージの方です。旦那さんは恥ずかしかったようですが、奥さんは嬉しそうだし、私はいい写真だと思いました。

両親から見て写真館とは

今でこそ、全国チェーンの写真館・フォトスタジオが出来、田舎の町にまでどんどん進出してきていますが、昔は本当に自営業で細々と、いった感じだったと思います。しばらく前には、実家の近くに大型商業施設ができ、その中にもフォトスタジオがありました。そして気付かないうちに、一軒だけでなく、また一軒という風に増えていっているようです。中には貸衣装と合わせて成人式・七五三といった折々の行事写真を撮る写真館も増えたように思います。その季節の折々に広告などで見かけることが増えました。

その中から、良さそうだと思われる写真館に、みんなの家族写真を頼むことにしました。聞きはしませんでしたが、本当は母の同級生の写真館で撮りたかったのかなぁ、と思うと何とも言えない気持ちになりました。

そして当日ですが、服装に大変困りました。普段着でいいよ、とは言ったのですが、本当に普段着のエプロン姿なんていう訳にはいかない、と結局は普段着よりはちょっとお洒落、かといってスーツ姿やお見合い写真のような服装にならないように、ちょっとカジュアルにしました。

 

スタジオに着くと、さすがはプロのカメラマンさん、笑顔を引き出すのが上手です。この集まりの趣旨、というと大げさですが、還暦のお祝いで親戚の大家族写真、と聞くと、こんな風に集まって、とか、小道具はこんな感じで、と色々用意してくださいました。小さな子供もいたのですが、「自然なままでいいですよ」とお声がけしていただき、力を抜いてカメラの方を向くことができました。

みんな思い思いに並び、自然な笑顔のままで写真が撮れたのではと思いました。そこで私が思い出したのは、母の友人に見せてもらった写真です。元々、両親二人だけの写真も撮る予定でしたが、正面向いただけの二人写真ではなく、もっとラフに自然体で撮れたら、と思いました。

その場で母に、「ほら、アメリカで撮ったっていうあの写真、どうかな?」「まるっきり同じじゃなくていいし」と持ち掛けてみました。そこで、一枚は普通に正面から。もう一枚は父が椅子に座り、後ろから母が抱き着くような感じで顔を寄せて頬がくっつきそうな仕上がりになりました。父からポーズをとることは難しく、これが精いっぱいでしたが、父はくすぐったそうな照れ笑いのような笑顔になり、母も笑顔で、大変良い写真になりました。

飾って日常の一部となった還暦祝いの家族写真

その後、大判になって写真館の台紙に収まった家族写真や二人の写真ですが、一度は閉まったものの、再び出して飾ることになりました。大事な家族写真だから大事にしまわなくちゃ、という思いの両親ですが、それはもったいないと感じました。写真だって誰かに見てもらいたいんじゃないか、写真館の方たちだって日々飾られた方が嬉しいんじゃないか、とも思いました。これは私の勝手な思い込みかもしれませんが。

全国のカメラマンさん達に言いたいです。あなた方のおかげで、良い家族写真が撮れました、思い出をありがとうございます、日々目につくところに飾り、日常の一部になってますよ、と。

 

家族写真・ペットと家族写真撮影は福岡市フォトスタジオ原田写真館Since1969 (香椎参道通り)

原田写真館 福岡市東区香椎1-12-6
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